2012年04月19日

ウミナシジダカラ

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ウミナシジダカラ
Erosaria cernica cernica
コモンダカラ亜科 コモンダカラ属
一般的なサイズ:24〜30mm
分布:太平洋側・房総半島以南/日本海側・山口県以南
レア度:★★★★

●オレンジ色の背中がきれいな中型のタカラガイ。名前は海梨地と思ってたら「熟み梨地」だそうです。熟した梨のイメージなのでしょう。
●ぷくっとふくらんだ殻の形は、同属のハツユキダカラに似ています。腹側が真っ白なのも同じ。ただ大きさは最大クラスのウミナシジと最小のハツユキが重なるかどうか、というくらいの違いがあります。
●数は少なくて、一昨年までは8年かけてスレたのを含め2つしか拾ってませんでしたが、なぜか去年あたりから時々見かけるようになりました。南房総では打ち上げ貝の量自体、ここのところずいぶん減ってる印象がある中ではちょっと不思議。
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やや深い場所に生息していることもあって模様が残ったものはなかなか拾えませんが、このくらいになると割れてない限り持って帰ります。ひと皮むけてもあまり紫色にはならないようです。
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■似ているもの:ナシジダカラ
上の画像作ってから、すでにナシジダカラのページで比較画像載せてるのに気がついたけどまあいいや。打ち上げでは大きめのナシジダカラと迷うことがありますが、サイズだけでなく殻のふくらみ具合、サイドにある細かい凹みなどで区別できます。
                           


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2012年04月16日

イボダカラ

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イボダカラ
Staphylaea nucleus nucleus
コモンダカラ亜科 サメダカラ属
一般的なサイズ:15〜25mm?
分布:房総半島以南
レア度:★★★★★

●なんたってデコボコの殻が特徴。サメダカラどころじゃありません。落ちていればすぐにわかりそうですが、これも三浦房総では数が少なくて、僕は去年やっと見つけました。房総半島での40種類目だったかな。あんまり状態はよくありませんが、とりあえず割れたりしてないのでいいや。最近タカラガイの打ち上げは減ってるので、これ以上種類は増えるかどうか悲観的。
●腹側全体に歯が伸びているのはサメダカラと同じですが、もう少し歯の間隔が広くなります。
●学名のnuclesは「核」。核燃料とか核兵器のnuclearと同じ語源でなんだか物騒ですが、果実の種(核)にたとえたものなんでしょう。確かに梅干しとかモモの種には似てます。真ん中に走る溝は、殻を包む左右の外套膜の合わせ目。生態写真を見ると殻の無骨さとは裏腹に華やかです。
●ジュズダマダカラ同様、南の海に行けばもう少し増えるものの、それほど大量発生はしないようです。
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南房総では上のやつだけなので、これは南紀で拾った比較的程度のいい個体。本来はこんな色合い(もうちょっと濃くなるかも)で、デコボコなりにつやがあります。
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最初の写真のもそうですが、古くなった打ち上げだと白から灰色っぽくなってしまいます。手前の3つは屋久島、奥の2つは南紀で拾ったもの。すり減ってるせいなのか、イボというよりもしわしわ。

似ているもの:しいていえばサメダカラですが、デコボコ加減が全然違いますね。
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2012年04月14日

ジュズダマダカラ

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ジュズダマダカラ
Cypraea beckii
コモンダカラ亜科 コモンダカラ属
一般的なサイズ:10〜15mm?
分布:房総半島以南
レア度:★★★★★


●まあとにかく小さいです。1センチそこそこ。貝だまりに座り込んでちまちま探さないと絶対見つかりません。小さくても造形が細かくて、前後はクロシオダカラのように絞り込まれ、背中には細かい点々が散らばっています。生貝採集の標本と違って打ち上げではだいぶ消えちゃいますが、腹側を見ると歯が着色されていることで区別できます。たぶんこっちの特徴はスレても遅くまで残るんじゃないかと思う。
●なかなか見つけられないタカラガイというのは、ただ数が少ないというだけでなく、
1、打ち上げではすぐに表面の模様が消えてしまうもの(アジロダカラ、カノコダカラなど)
2、よく似た数の多い種類と見分けにくいもの(チャイロキヌタに似たカミスジダカラ、メダカラに似たキムスメダカラなど)
3、サイズが小さくて見つけにくいもの(クロシオダカラなど)
といった複数の理由がありますが、このジュズダマダカラはパターン3。僕は6年前に1つ拾ったっきりだったのですが、今年になって久々に2個目を拾いました。上の写真のがそれです。
●三浦半島でも見つかっていますが、見つけるのは南房総以上に難しそう。和歌山方面まで行けばある程度は増えてきますが、それでも行けば必ず拾えるというものじゃないみたい。
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いままで8年くらいかけてこの2個だけ。大きい方は約13mmです。

似ているもの:サイズと外形からするとクロシオダカラに似てます。ただ地色が全然違いますね。
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2012年04月13日

ハナマルユキ

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ハナマルユキ
Erosaria caputserpentis caputserpentis
コモンダカラ亜科 コモンダカラ属
一般的なサイズ:28〜35mm
分布:太平洋側・房総半島以南/日本海側・山形県飛島以南
レア度:★

●メダカラ、チャイロキヌタ、オミナエシダカラに次いで多いタカラガイ。ハツユキダカラやクチグロキヌタほどじゃありませんが、沖に岩礁があれば、見た目砂浜っぽいところでも拾えます。メダカラやチャイロキヌタが南へ行くと数が少なくなってくるのに対して、これはある程度低温にも対応しつつ、暖かい海ではさらに数が増えてきます。伊豆諸島の三宅島あたりに行くとメダカラやチャイロキヌタをしのいでタカラガイ中一番多いとか。
●色合いだけでも他のタカラガイとは全然違うので、落ちていればすぐにわかります。たくさんあるのでピカピカの打ち上げを拾う機会も多く、新鮮なものは漆塗りの工芸品のようです。成貝はずっしりとした重みもあって魅力的。
●背中が盛り上がって、底面が平らになった半球型のような形も特徴ですが、三浦や房総ではそれほど底面が広がらず楕円形になるタイプが多く、こういうものはミカドハナマルユキと呼んで区別されることもあります。
●貝の和名は図鑑によって「ガイ」を付けたり付けなかったりしますが、このハナマルユキは「ダカラ」さえつけないことが多いようです。もちろん「ハナマルユキダカラ」だったり、「ハナマルユキダカラガイ」だったりすることもあります。学名とは違って規約があるわけじゃないので仕方ない。でもこれについては「花丸雪」のほうが可愛いと思う。
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形の違うものを並べてみました。確かに南紀で拾ったときには左側のような横に広がったタイプ(もっと幅広になるのもある)が多かった記憶があります。沖縄などではリーフの外側の波を強く受ける場所にいるそうで、底面が広がるのは波に対する適応なのかもしれません。三浦房総では他に生態的地位を争うタカラガイがあまりいないために波を強く受けない場所にも生息するから、底面を広げてへばりつく必要がないとも考えられます。同じ三浦房総エリアで、外洋に面した波の強い場所と、静かな内湾での形態比較でもやれば見えてくるかも。いずれにしても別名をつけるほどじゃないと思うけどなー。
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背中が盛り上がってる分、スレた打ち上げではこんな感じでてっぺんハゲになっちゃうけど、紫色が出たものを磨き上げるとそれはそれできれいです。サンポール(希塩酸)を使って紫色の面をわざと出すこともできるのを教わって、一度やってみたけど頃合いが難しくて穴が開いちゃった。
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こちらは成長度の順で、一番左が幼貝。全然模様が違いますが、他のタカラガイに比べて色合いが濃いので見分けやすいでしょう。成長していくと左右からだんだん黒塗りが広がってきます。実は長生きすればさらに底面が広がってくるのに、三浦房総では寒くてその前に死んじゃうだけだったりして。

似ているもの:ありません

※追記:
英語だとserpent's-head cowry、つまりヘビアタマダカラだそうで。そういわれればそうだけど、花丸雪とくらべてまたずいぶんな扱い。
posted by Yasuhisa Ueda at 00:18| Comment(2) | 三浦・房総の貝殻図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月10日

カバホシダカラ

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カバホシダカラ
Palmadusta lutea
ケープダカラ亜科 カミスジダカラ属
一般的なサイズ:15〜20mm
分布:太平洋側・房総半島以南/日本海側・山口県以南
レア度:★★★

●背中は濃褐色の地に2本線が走り、腹側は鮮やかな赤茶色に細かい斑点が散っています。「樺星宝」の名前通り、図鑑などを見ると背中にも細かい点が乗ってたりしますが、打ち上げ採集ではそんなの見たことありません。というか背中の2本線さえ消えてるのが多い。
●今までそこそこの状態のものを拾った数はウキダカラよりは少なく、アジロダカラよりは多い、というくらい。でもウキダカラはかなりすれてもそれなりに模様が残るのと、自分が好きなので手元に残しやすいというのはあるかも。
●ということで結構珍しいんですが、ひっくり返ってるとなまじアジロにそっくりなので、拾ってみてからどうしてもコレジャナイ感があるのがちょっとかわいそう。
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一応2本線が残ってるやつ。なぜか最近僕は多く拾ってるので、スレたのはあんまり持ち帰らなくなってきました。
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未成貝。背中の2本線がぐるっと回り込んでいて、お腹の色がやや薄くなってます。
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スレた状態だとアジロと迷いますが、普通はカバホシの方が全体的に濃い色になってます。左がカバホシ、右がアジロ。それと、カバホシダカラは「歯」の部分の色が白く抜けたようになるのも特徴です。

似ているもの:本文の通り、スレた状態ではアジロダカラ。それ以外ではありません。
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2011年12月16日

クチグロキヌタ

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クチグロキヌタ
Cypraea onyx
ケープタカラガイ亜科 ナツメモドキ属
一般的なサイズ:35〜42mm
分布:太平洋側・房総半島以南/日本海側・不明
レア度:★★★

●お腹が真っ黒な、やや大きめのタカラガイ。落ちているとすごく目立つものの、一日歩いても見つからないのが普通。砂泥地の岩礁を好むそうで、確かに泥っぽい場所に上がっていることが多いです。ハツユキダカラと同様で、単に僕がそういう場所にあまり行ってないだけなのかも。
●他のタカラガイをたくさん拾うような磯の間の砂浜でも、たまに見つかることはありますが、割れちゃってるのが多い。真っ黒くて艶も残ってるかけらを見ると悲しい。
●学名のonixはオニキス=メノウのこと。メノウといえば、白い縞になったものが三浦半島の西海岸でも時々拾えますが、これは黒いメノウに例えたものだそうです。
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そこそこきれいなもの。手前の個体では左右から白い滑層が出ています。暖かい海ではこれがもっと広がって青白くなるそうです。南関東ではそこまではなかなか育たないみたい。
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クチグロキヌタは殻の質が弱いのか、割れるまでいかなくても、すぐガスガスになってしまいます。
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幼貝と未成貝。クチグロキヌタは幼貝の時から色が濃くて、淡色の2本の帯が目立つので他の種類とは区別できます。一番右のはもう外唇ができてるのでこれ以上は大きくならないはずですが、たった13.6mmしかありません。大きい方のサイズは比較的安定してるのですが、こんな風に時々異常に小さいのがあります。

似ているもの:
ありません。しいていえば、南紀あたりまで行くと拾えるタルダカラというのが同様にお腹が真っ黒になりますが、これはずっと大きくて細長くなります。まだ三浦房総では見つかってないと思います。
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2011年12月15日

アジロダカラ

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アジロダカラ
Palmadusta ziczac
ケープダカラ亜科 カミスジダカラ属
一般的なサイズ:15〜20mm
分布:房総半島以南
レア度:★★★★

●特徴的な模様で、ひと目でわかるタカラガイのひとつ。自然のものにいちいち理由を求めるのは見当違いなのかもしれないけど、なんで、どうやってこういう模様を作ってるのか不思議です。
●アジロは「網代」。板や竹などを組んだ模様を網代模様と呼びます。伊豆半島の熱海の南に網代という町がありますが、もともと簀立てなどで使った漁法や、その漁場を指した漁業用語だそうです。現在ではそれほど使われる言葉ではないのでイメージしにくいでしょうね。学名のziczac(ジグザグ)のほうがわかりやすい。僕はこれで初めて、「ジグザグ」が外来語だってことを知りました。
●きれいに模様が残ったものはめったに拾えません。カノコダカラほどじゃないけど、ウキダカラよりはずっと少ない(ただウキダカラはすり減ってもそれなりに模様が残る分、多く拾えるってことはある)。僕自身も拾い始めた頃から憧れの貝でしたが、穴あきながらも模様がちゃんとあるのを拾ったのは貝拾い10回目くらいのこと。それ以後もあんまりアジロには恵まれてないので、とりあえずこれが拾えれば他になんにもなくても大漁。これくらいになると、南房総でたくさん拾ってる地元の人にも「おお、やったねえ」ってほめてもらえます。ちなみに三浦半島ではまだ一つも拾ってません。
●お腹側は明るい茶色に細かい茶褐色の斑点が散らばっていて目立ちます。見つけると祈りながらひっくり返すんですが、たいていアジロ模様なんかほとんどすり減って消えてます。カミスジダカラと同様で、この属のタカラガイは表面の模様の層が薄いのかな。
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なんとか模様が残ってるもの。ジグザグのパターンは太かったり細かったり、鋭角だったりいろいろ。幅が広い方がかっこいい。
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もう少し前に出会いたかった残念なやつら。すり減ると背中はほとんど白くなっちゃいますが、お腹の色合いは薄くなっても残ります。
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全面的にスレてしまっていても、横を見るとわずかに模様が残っているものがあります。一応拾って帰るけどくやしい。
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螺塔の回りには茶色の点列があります。よく似たカバホシダカラとの区別点の一つですが、背中の模様が消えてるものはたいていここの点列も消えちゃってますね。

似ているもの:模様さえ残っていれば間違えようがないんですが、すり減ったものだとカバホシダカラと迷います。ただしカバホシダカラのほうが、すり減っても全体的に色が濃いようです。
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2011年12月14日

コモンダカラ

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コモンダカラ
Erosaria erosa
コモンダカラ亜科 コモンダカラ属
一般的なサイズ:25〜35mm
分布:太平洋側・房総半島以南/日本海側・山口県以南
レア度:★★

●薄茶色の地色に細かい模様を散らした中型のタカラガイ。オミナエシダカラと似たパターンですが、こっちのほうが凝った感じ。裏側の色合いもただ白いんじゃなく象牙色っぽくなっていて、なんというか高級感とか重厚感があります。それほど珍しくはありませんが、波打ち際などできれいなのを拾えると結構うれしい。
●殻の側面左右には、たいてい焦げ茶色の大きな斑点があります。個体によっては両側にあったり、内唇側だけだったり、まったくなかったりしますが、外唇側(殻の軸側じゃない方)だけにあるのはまだ見たことがありません。僕は最初、この黒い紋を「紋付き」という意味で小紋宝という名が付いたのかと思ってましたが違うようです。普通に和服の小紋のイメージかららしい。
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比較的きれいなもの。見比べると微妙に個体ごとに模様が違ってるのがまた楽しい。成長したものは個体の大きさには関係なく腹側がめくれ上がるように広がって、その部分に茶色い筋が浮き出てきます。個体によっては、同時に腹側の歯の部分も筋状に着色されます。
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打ち上げですり減ったのはこんな感じ。たまに濃い紫色になるのもありますが、オミナエシダカラほど紫色のものを拾う確率は高くありません。かなり摩耗した貝殻で、黒い紋がないものでも、腹側の色合いが象牙色っぽいことでハツユキダカラやオミナエシダカラとは見分けがつきます。
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外唇ができたばかりの未成貝。一番右のはもう歯が着色されてますが、成貝になっても着色されないもののほうが多いです。
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幼貝や未成貝では、螺塔の部分の色が薄く目立たないのが特徴。これだけでよく似たハツユキダカラ(黒い)オミナエシダカラ(もう少し色が濃い)と区別できます。ただ正直言うとオミナエシの幼貝とは結構微妙だったりする。
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左は22mm、右は42mm。コモンダカラは南紀や沖縄方面など南の海に行くともっとたくさんいますが、暖かい海ではかなり小さいまま成体になってるのを多く見かけます(大きいのはもちろん普通にいる)。チャイロキヌタやナシジダカラなんかでも同様の感じなんだけど、理由がいまいちわからない。環境がいいから小さい個体のままでも生きていけるのか、それとも暖かいから時期外れに産卵したものが、短い期間になんとか親まで成長したのか。
僕が以前コピーさせてもらった房総半島の記録では、最小が20.2mm、最大が46.6mmでした。最近は館山の国民休暇村でどんどんデータが更新されているようなので、もっと記録破りのサイズが出てるかも。

似ているもの:本文で書いたとおりハツユキダカラとオミナエシダカラです。
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2011年12月13日

貝拾いに行こう! その4 〜準備・持ち物など〜

大した準備がいらないというのが貝拾いのいいところですが、一応用意しておきたいものはあります。
まずは足ごしらえ。波打ち際を夢中になって探していると、思わぬ波が来て足もとがずぶ濡れになるものなので、できれば長靴を。ただ、普通の長靴は岩の上ではかえって滑りやすいので、暖かい時期なら積極的に水の中で遊ぶつもりで、マリンシューズとかマリンブーツといわれるものを持っていくのがいいでしょう。足先やくるぶしの出たサンダルっぽいのは、磯を歩くときに岩や貝殻で足を切ったりする不安があります。
気合入れて探すなら磯釣り用のブーツなんかもいいんですが、フェルト底のものは案外あっさり靴底自体がはがれちゃうことが多いです(安物買ってるからだと思う)。もし買うならゴム底にスパイク付きのものがいいかも。

貝拾いは浜辺に座り込んで探すことも多いし、海岸は風が強いので、いくら暖かい三浦半島や南房総といっても冬は防寒具を多めに。手袋も使う人は使うのかな。僕は小さい貝を拾うのにやりにくいからあんまり使わない。
春から夏は逆に熱中症が心配なので、帽子と飲み物を忘れずに。
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それと、拾った貝を入れる袋。別にコンビニ袋だっていいんですが、なんかいまいちかっこ悪いのと、いつのまにか破れてせっかくの収穫が海に帰ったりするので、100円ショップなどで売ってるA4やB5のジッパー付きビニール袋か、厚手の冷凍用のビニール袋がおすすめです。上の写真のようなデータを書き込むスペースがあるものだと、とりあえず細かく整理する前の保存用にも便利です。複数の海岸を回るときは別々に入れておきたいので、たくさん用意しておきましょう。
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これは猫缶などが複数まとめて売られている網袋に針金で口を作ったもの。潮だまりでじゃぶじゃぶやれば貝にくっついた砂が洗い落とせるので便利なんですが、微小貝を拾うようになってからはあまり使わなくなってます。ツマムラサキとかクロシオとかも網目から落ちちゃいそう。普通のサイズのタカラガイとかを入れるにはいいかも。こないだ近所のキャスティング(釣具店)に行ったら、カニ網のエサ袋として、ほとんど同じもの(ただし色は赤)が1枚31円で売ってました。

また、サクラガイやチヨノハナガイ、ナデシコなどといった薄くて壊れやすい貝を入れるのに備えて、小さなタッパーがあると便利。そんなもの用意してなかった頃の僕は、せっかく拾ったアオイガイをうっかり車の中で粉々にしてしまって泣きました。気をつけましょう。

このほか、人によっては打ち上げ帯の海藻や流木をどけたり、貝だまりをほじくり返すための専用の棒やスコップを持ち歩いてる人もいますが、そこらに落ちてる木ぎれとか竹とかを使えば十分。僕は潮だまりの中の貝を拾うのに、一時は金属製の火ばさみなんかも持ち歩いたけど、どうも客観的に見た目いまいちなのでやめてしまいました。

posted by Yasuhisa Ueda at 01:53| Comment(0) | 三浦・房総の貝殻図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月27日

カノコダカラ

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カノコダカラ
Cribrarula cribraria cribraria
ケープダカラ亜科 カノコダカラ属
一般的なサイズ:18〜22mm
分布:房総半島以南
レア度:★★★★★

●明るい茶色の背中に丸い水玉模様が散らばっている可愛い貝。南紀など暖かい海へ行けば、少なくとも打ち上げで拾うことはそう難しくありませんが、北限である三浦房総ではなかなか見つかりません。僕も今まで南房総で拾ったのはたった3つ。三浦半島で拾うのはちょっと奇跡に近いかも。
●少ないだけでなく、見つかりにくい理由の一つは、打ち上げではせっかくの模様がすぐに摩耗して消えてしまうこと。そうなると全体真っ白になっちゃうんですね。打ち上げ貝の多い場所で、岩の回りをほじくってみると模様の残ったのが見つけられるかも。
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最初の写真に出したのを含めて、今まで拾ったまともなものはこの2つだけ。大きい方は初めて南房総へ貝拾いに出かけたときの収穫です。このときはウミナシジダカラとかヤクシマダカラとかキムスメダカラとか今考えるとすごいのをたくさん拾っていて、やっぱりビギナーズラックってあると思う。
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仕方がないのでこれは南紀で拾った参考品。さすがに暖かいところだとサイズも大きいのがあります。打ち上げではこんな風に、消しゴムで消していくように模様が消えてしまいます。
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先週、南房総で久々に拾った3つめ。ほとんど真っ白。横にほんの少し残っていた彩色と、お腹側の歯の形(刻みが弱く、軸側の底面にはほとんど歯が出ない)からカノコダカラということは確定できましたが、だからってうれしいのかというとやや疑問が。もうちょっと前に出会いたかった。

似ているもの:少しでも模様が残っていれば見間違えることはありません。真っ白になったものはなんだろうと迷いますが、カノコほど全部真っ白になるのはほかのタカラガイでは見あたりません。しいていえばチャイロキヌタがたまにそうなるけど、サイズが違うし。
posted by Yasuhisa Ueda at 20:32| Comment(0) | 三浦・房総の貝殻図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月26日

カモンダカラ

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カモンダカラ
Erosaria helvola helvola
コモンダカラ亜科 コモンダカラ属
一般的なサイズ:18〜25mm
分布:太平洋側・房総半島以南/日本海側・能登半島以南
レア度:★★

●花紋宝という名前にふさわしい、華やかな印象のタカラガイ。お腹側は赤茶色というかオレンジ色に染まっていて、転がっていると一目でわかります。鮮やかな色のを見つけると、祈りながらひっくり返すんですが、背中はズルむけだったりすることも多い。
●殻の前後はあまり尖らず、全体的に丸っこい形です。そこそこ普通に見つかる貝ですが、ある程度水深のある場所に住んでいるせいか、なかなかきれいなものが拾えません。それだけにツヤの残ったものを拾えるとかなりうれしい。南紀とか屋久島とか、南の方に行ってもアヤメダカラと違ってそんなに数は増えないようです。
●サイズは比較的安定していて、2センチくらい。なぜか御前崎あたりにいくと3センチ近い巨大なのがあります。でもあそこのはスレてるのが多いんだよなー。
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状態のいいものを集めてみました。新鮮な個体では殻の前後が薄紫色に染まっていてきれい。背中の模様は変化があって、白っぽい部分が多いものから、ほとんど真っ黒なくらいに見えるものもいます。波打ち際ですっごくツヤツヤなのを拾って喜んでたのに、家に帰って乾かすとつや消しでちょっとがっかりということもタカラガイにはありがち。
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すり減ると全体的に色が薄くなり、もっと削れると淡い紫色がでてきます。それはそれでネイチャークラフトの素材としてはいいんですが、元の色がきれいなだけにちょっと残念。かなり古くなっても、お腹のオレンジ色は残っています。
kamondakara4.jpg
未成貝。外唇ができはじめる頃には、もう歯の周辺が着色されてきます。

似ているもの:ありません
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2011年11月25日

貝拾いに行こう! その3 〜いつがいい?〜

思い立ったらすぐ、というのでいいと思うけど、収穫を求めるなら、季節ごとにそれなりのタイミングがあります。
●春
昼間に大きく潮が引く潮干狩りシーズンは、貝拾いにもいい時期。長靴を履いて潮だまりの中を探せば、タカラガイなんかもきれいなものが見つかります。また、いつもなら歩いては行けない場所へも渡れたりします。ただし干潮時刻をちゃんと調べていかないと、帰れなくなったりする心配があるので注意。
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春の潮だまり。滑りにくいソールの長靴を用意して行きましょう。本気でやるならウェーダーがいいけど、5月にもなると暑くって大変。

●夏
人が多い場所だと、出かけるのが遅いと拾われてしまっていたり、踏みつぶされてたりすることがあるので早出が原則。場所によっては夏だけ駐車料金が取られることも。また、熱中症や日焼けの対策も忘れずに。

●秋
台風などで海が荒れたあとは、普通は打ち上がらない深い場所の貝が見つかることがあります。ただ、荒れてる日当日じゃ危ないし、翌日期待して行っても意外とそうでもなかったりする。基本的には荒れた日の2〜3日後がいいようです。
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暖かい時期だと、海が荒れた日のすぐあとは、場所によってこんな風に大量の海藻で埋まってたりします。最近はあまりワカメなどを収穫しなくなったのでこういうことが多いようです。こうなるとかえって打ち上げ貝は探しにくい。何日かたてば、海藻が消えて貝殻が洗い出されてきます。

●冬
普通の人は寒い中海辺を歩いたりしないので、収穫が独占できます。まあ、真冬の明け方にひとりで震えながら貝拾いなんかしてると、我ながらなにやってんだかと思ったりもしますが。12月以降は南方系の貝が低水温で死んで打ち上がる季節なので、僕みたいにタカラガイを中心に拾ってる人にとってはかき入れ時です。

これに加え、行くなら潮回りも調べておきましょう。潮だまりを探すなら当然大潮の干潮時を狙うことになりますが、打ち上げ貝の場合、大潮の時は沖へ持って行かれてしまい、かえって拾えない傾向にあるそうです。理屈はよくわかりませんが、僕も経験的にはそう思います。
一日かけて複数の場所を探すなら、潮だまりを見るような場所、浅瀬を歩かないと行けない場所などは干潮のタイミングに行き、砂浜で貝を探すのを満潮時にするといいでしょう。上げ潮の時などは、波打ち際に届いたばかりのきれいなものが見つかることがあります。
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2011年11月24日

貝拾いに行こう! その2 〜どこに行く?〜

貝拾いとかビーチコーミングというと、白砂青松のきれいな砂浜をのんびり歩きつつ、目についたものを拾う、というイメージがありますが、実際はそうとは限りません。干潟、河口、内湾の砂浜、外洋に向いた砂浜、磯浜、それぞれの環境に対応した種類が生きているので、言ってしまえばどこの海岸でも貝拾いはできます。
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たとえば内湾の砂浜ではサクラガイやアカニシ、ツメタガイなどが拾えますし、三浦半島や南房総の磯浜では、岩にくっついて生きるアワビや笠貝の仲間、そしてタカラガイなどが拾えます。
また、同じ砂浜でも、アサリとヒメアサリ、ハマグリとチョウセンハマグリなど、内湾性と外洋性の違いによって住み分けているものもいます。海辺で拾える貝の種類で、陸からは見えない海の環境を知るのも、貝拾いの楽しみです。

ただ、一ヶ所でいろんな貝を拾いたいと思えば、磯の間に小さな砂浜がいくつもあるような場所がおすすめ。こういうところでは、干潮で干上がるような岩の上、海底に転がる石の下、岩の上に生えた海藻の中、岩の間にたまった砂の中など、狭い範囲の中に違った環境があるから。それぞれに違った種類の貝が生きています。
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たとえばこんな環境ですね。こういうところでは当然干潟の貝や、粒の細かい砂浜を好む貝は拾えませんが。
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対してこちらは内湾の砂浜。海の中までずっと砂地が続く砂浜の場合は、環境の変化がないので、対応する貝の種類も限られます。そのかわり、この写真でのイボキサゴのように一種類がすごく大量に上がったりします。
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ひたすら砂だけが続くきれいな浜というのは、絵にはなりますが、逆に言えば打ち上がるものがないってこと。特に、すぐ沖から急に深くなっている海岸では貝の打ち上げはあまり期待できません。遠目には波打ち際にいろいろあるように見えても、よく見るとほとんどは水に浮くものばかりだったりします。伊豆半島なんかがそうで、ピンポイントで拾える場所はあるものの基本的には打ち上げ貝拾いには向きません。三浦房総では海岸の岩の多くが柔らかい泥岩なのに対して、伊豆半島では硬い火成岩というのもあるかな。ただし、数少ない拾える場所では、ヘナタリやミオツクシガイ、ナガカズラガイなど三浦房総ではそうそう見られないものがあります。

それと、波打ち際の状態も大事。ある程度砂粒が小さいほうが、きれいな貝が拾えます。粒の大きい砂利浜だと、せっかく打ち上がった貝殻もすぐ粉々になったり、すり減っちゃいます。
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砂浜であって、こんな感じに波打ち際に貝のかけらが積もっているような場所が最高。
そういう条件を備えた場所が、南房総や三浦半島にはたくさんあります。

・・・まあこんなゴタク並べなくたって具体的に場所を書けばすむわけで、一度は僕もたくさん拾える浜のガイドとかアクセス情報まで作ってみたんですが、結局ここではパスすることにしました。やっぱ自分で見つけた方が楽しいと思う。
それと、実際に海岸に行って、同じように貝拾いをしてる人に直接教えてもらうのもおすすめです。貝拾いが好きな人なら、出会ったときに尋ねればみんな親切に教えてくれます。僕もずいぶん教えてもらったり教えてあげたりしました。ぜひ海辺で会いましょう。
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2011年11月23日

アヤメダカラ

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アヤメダカラ
Cypraea poraria
コモンダカラ亜科 コモンダカラ属
一般的なサイズ:15〜22mm
分布:太平洋側・房総半島以南/日本海側・山口県以南
レア度:★★★

●江戸時代からついている名前の通り、お腹のアヤメ色がきれいな貝ですが、背中側は地味〜な茶褐色。よく見ると近縁のコモンダカラに通じる模様があるものの、遠目にはほとんど温泉まんじゅう。ほかのタカラガイと比べても丸っこいのでなおさらです。
●慣れると丸っこい背中を見ただけでもわかるようになりますが、数は比較的少なく、1日歩いてもきれいなのは1個拾えるかどうかでしょう。タカラガイの収穫にはなぜか人によって得意不得意があって、僕は割合アヤメダカラには恵まれてる方ですが、人によっては何度行ってもきれいなのが拾えないとか。
逆に、ある人は別に珍しくもないと思ってるクロダカラは、僕はあんまり拾えてません。人それぞれに探し方やパターン認識の違いなのかな。ちなみに、これとは別に特定の浜との相性もあったりします。
●南紀潮岬まで行ったら、きれいなのがごろごろ転がってて驚きました。三浦房総あたりのオミナエシダカラくらい普通にあって、うれしいやらかえってがっかりするやら。
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比較的きれいなもの。老成すると、こんな感じで背中の真ん中あたりに白い滑層が出ているのをよく見かけます。・・うーんバックの色のチョイスを失敗したな。
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古い打ち上げ貝ではお腹のアヤメ色も淡くなって、なんだか漆喰の塗り壁みたいな感じになっちゃいます。
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未成貝。外唇ができるくらいに成長しても、まだ螺塔(巻きのてっぺん)が顔を出してます。カモンダカラの若いのにも似てますが、お腹の色を見れば一発で見分けが付くでしょう。
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2011年11月19日

貝拾いに行こう! その1

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などといきなりバナーっぽいの貼ったりして。実はだいぶ前に貝拾いのサイトを作りかけて挫折したなごりです。

もうすぐ12月。だんだん寒くなってきて、虫も花もあんまり見られなくなってきますが、そんな時期にも楽しめるのが貝殻拾い。
貝殻は、その美しさのために昔からコレクションの対象になっています。
集めるというほどでなくても、海に行って、きれいな貝殻を記念に持ち帰った記憶のある人は多いでしょう。
打ち上げられた貝なら、家に帰ってから水で洗うだけ。その手軽さも貝拾いの魅力です。
腐ったりカビたりすることもないので保存にもそれほど気を使いません。

岩場とかに行かなければ危なくもないし、物々しい装備も不要でお金もかからない。
遠く南の島まで行かなくても、たとえば東京からなら三浦や南房総までいけば
驚くほどたくさんの種類が生息しています。
特にこれからの冬場は、タカラガイを代表とする南方系の種類が海水温の低下とともに死滅して、新鮮な貝殻が打ち上げられる季節なのです。
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三浦半島や房総半島以南なら、本気で拾えばこんな感じにピカピカなタカラガイがあります。

でもって、せっかく拾うのなら、やっぱり名前を知って欲しい。
ただ形が美しいから拾って、名前なんか知らないまま思い出にするのもいいでしょう。でも、貝に限らず、名前を知ることで、楽しみが広がることもあるし、見る目が変わってくることも確かです。
貝の名前は風情のあるものや、想像をかき立てるものが多いんです。タカラガイで言えば、前に紹介したオミナエシダカラ(女郎花宝)やハツユキダカラ(初雪宝)のほか、コモンダカラ(小紋宝)、ハナマルユキ(花丸雪)、アヤメダカラ(菖蒲宝)などなど。もちろんタカラガイ以外でも、ナデシコとか、ナツモモとか、クマノコとか可愛い名前のものがいっぱいあります。どれも三浦半島や南房総で拾えるものばかり。
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まあ中にはイメージが違うのもあるわけで。

ただ、ひとつネックになるのは、貝類をはじめとする軟体動物って、地球上で昆虫に次いで種類が多いのにもかかわらず、意外と情報が少ないんですね。
たとえば、植物やきのこ、昆虫ではインターネット上にかなりのデータベースがあります。かなりマイナーな種類でも、画像だけでなく生態や飼育法、栽培法までみつかったりします。それなのに、貝になると南関東の海岸でたくさん拾える種類でも、画像さえ見つからないことがある(というより、普通種ほど情報が少ない傾向がある)。googleで検索してみるとわかりますが、たとえば南関東沿岸でメダカラの次に多いチャイロキヌタでも検索結果はたった4810件。僕のしょぼいブログでさえ1ページ目に出てきちゃう。貝殻のコレクションって、海外では結構メジャーな趣味らしいんだけど、日本ではそうでもないみたいです。

まあ、だからこそ面白い、ともいえます。アマチュアの採集者によって日本で初めて発見されたり、新種が記載されたりすることも貝の世界ではまだありますし、温暖化で南方系の種類がどんどん北上している現在、図鑑では分布していないはずの場所での発見もたびたびあります。
とりあえずこのブログで、これから拾う人の手伝いをしようとは思ってますので(大風呂敷広げといて、南関東で拾えるタカラガイさえ年内に終わるのかどうかという状況ですが)気長にお待ちを。

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2011年11月01日

サメダカラ

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サメダカラ
Staphylaea staphylaea staphylaea
コモンダカラ亜科 サメダカラ属
一般的なサイズ:15〜22mm
分布:太平洋側・房総半島以南/日本海側・山形県以南
レア度:三浦★★★・房総★★


●タカラガイの魅力の一つは、磨いてもいないのに殻がツルツルなこと。これは生きているときには外套膜という体の一部分で殻全体を包んでいるためですが、数少ない例外としてザラザラなのがこのサメダカラです。名前も「鮫肌」からきたもの。腹側は歯の部分が底面全体に広がっていて、これも特徴的です。そんなに珍しいものではないけれど、きれいなのが波打ち際にコロンと転がってるのを見つけるとかなりうれしい。
●全体の形は丸っこいものが多く、殻の前後は茶色に着色されています。幼貝のうちは茶色っぽかったりベージュ色で、成長するとともに白っぽくなり、さらに青灰色になっていくのは近縁のシボリダカラと同じ。まだ未成貝のうちは白い斑点(シボリダカラよりは細かい)が散らばっているだけですが、成貝になると斑点のところが盛り上がってきます。
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拾った中ではきれいなもの。表面がザラザラといっても、新鮮な個体では下地につやがあります。サイズは2センチを超えればかなり大きい方。
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すり減ってくると成長とは逆にベージュ色を帯びてきます。底面の歯まですり減っちゃうと、シボリダカラとの区別が難しいことがあります。
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摩耗した個体でのシボリダカラとの比較。サメダカラもこんな感じでちょっと長細くなるのがいます。成貝同士だったら、シボリダカラは殻の前後がめくれ気味になってくることと、底面の歯が真ん中あたりで短くなることが区別点。あと、この写真では見えないけど、サメダカラの場合は底面と側面の境界がはっきり段になってます。そのへんまですり減っちゃうとかなり難しくなるけど、だいたいそういうのは拾わないかな。

■似ているもの:
上に書いたとおりシボリダカラです。
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2011年10月27日

ナシジダカラ

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ナシジダカラ
Erosaria labrolineata
コモンダカラ亜科 コモンダカラ属
一般的なサイズ:15〜22mm
分布:房総半島以南
レア度:三浦・房総とも★


●緑褐色の地に淡色の水玉模様を散らした小型のタカラガイ。平均するとメダカラよりも少し大きいくらいです。殻の周辺部には赤茶色の斑点がしみのような感じで散らばっています。梨地というと金属などの表面加工ではザラザラになった状態ですが、これには凹凸はありません。見たとおり果物の梨の模様そのままのイメージでしょう。
●拾える数はメダカラ、チャイロキヌタ、オミナエシダカラの次くらいに多いものの、生息域が深いのか、新鮮な個体はなかなか拾えません。つや消しになっていても模様がちゃんと残っていればいい方で、全体的にひと皮むけちゃってるのばかりです。
●南紀では三浦房総よりもずっと小さい個体ばかりでした。水温が高い分小さくても生き残りやすいのか、それとも暖かいと食性の近いライバルが多くなってかえって成長しきれないのかわかりません。
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写真写りがいいんだか、今まで地味な印象だったんだけど改めて撮ってみると意外ときれい。蒔絵など漆工芸の金梨地を連想させます。もっともこれは僕が拾った中でもオールスターレベルです。
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残念ながらほとんどはこういう状態。ただ、すり減ったときに出る紫色はメダカラよりも濃くなってきます。左下のようにかなりすり減っても、周辺に並んだ茶色いしみのような斑点は残るので、これでメダカラと区別できます。メダカラの斑点は黒く、お腹側まで回り込んでいますが、ナシジダカラの場合はお腹は真っ白。
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未成貝。タカラガイの幼貝特有の横帯がうっすらと見え、下側(生きてるときは進行方向)の裾に赤茶色の斑点が出はじめています。

■似ているもの
摩耗した貝殻ではメダカラがよく似ています。
また、拾い始めのうちは、めったに拾えないウミナシジダカラとの区別が難しいかもしれません。ただ下の写真のように並べてみると、ウミナシジダカラはずっと大きく、殻のふくらみが強くなります。また背中はナシジのように沈んだ色調ではなく、みかん色になってます。
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posted by Yasuhisa Ueda at 22:28| Comment(2) | 三浦・房総の貝殻図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月23日

シボリダカラ

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シボリダカラ
Staphylaea limacina limacina
コモンダカラ亜科 サメダカラ属
一般的なサイズ:20〜30mm
分布:房総半島以南
レア度:三浦★★★・房総★★


●青灰色の地に、白い斑点のある中型のタカラガイ。名前もこの絞り模様から。裏側は、サメダカラほど全面にはならないものの「歯」が長く発達して、成貝ではそれが茶色く彩られています。房総ではかなり浅い場所にいるらしく、潮だまりできれいなものを拾えますし、時には中身が入ってるものもあります。僕は殺して肉を抜くのが好きじゃないから逃がしちゃうけど、ピカピカなのはくやしくて遠くに投げます。
●南房総では1日歩けばきれいなものも何個かは拾えるでしょう。いかにもタカラガイが拾えそうな磯の間の浜だけでなく、広めの砂浜にぽつんと上がっていることもあります。
●わりあい好きな貝なんですが、なんとなく全体的にデッサンが狂ってるようないびつな形のものが多いです。
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地色は、典型的なものは青灰色から青みを帯びた黒灰色ですが、茶色っぽいものもあります。未成貝は茶色で、そこから成長とともに左右から白い斑点が出始め、同時に地色も青っぽくなっていくようです。大きさは比較的揃ってますが、たまに3cmを超える大きなものが見つかります。
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古くなった打ち上げ貝では表面が削られるため茶色が強くなり、もっと削れると土細工みたいに明るい茶色一色になってしまいます。
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ごくたまに、こんな感じで白斑の部分がポコポコ盛り上がってるタイプがあります。サメシボリなんて呼ばれたりしますが、サメダカラのようにざらざらした感じじゃなくて、ひとつひとつの突起は滑らかに盛り上がっているのが違いです。僕は南房総では今まで2個しか見つけてませんが、南紀あたりに行くとこういうのが多いそうです。温暖化で越冬できるタカラガイが増えてくると、三浦房総でもたくさん見つかるようになるかな。
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これは未成貝。全体に濃い茶色ですが、歯の感じはもうそれっぽくなってます。胎殻は黒。

■似ているもの:サメダカラ
同じ属のサメダカラは、成貝の新鮮な個体同士だと間違えようがありませんが、すり減った貝殻や、まだ若い個体だと難しいかも。ただシボリダカラの場合はサメダカラよりもややサイズが大きく、形も細長くなります。また、腹側の「歯」は、サメダカラの場合全面に広がっていて、お腹と側面の境界がはっきりしています。
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2011年10月12日

ハツユキダカラ

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ハツユキダカラ
Erosaria miliaris
コモンダカラ亜科 コモンダカラ属
一般的なサイズ:30mm〜40mm
分布:房総半島以南(日本海側は能登半島以南?)
レア度:三浦・房総とも★〜★★


●丸くふくれた形と、緑色を帯びた薄茶色の地に細かい水玉模様。新鮮でピカピカなものは青磁のような清潔感のある美しさがあります。大きさも普通に拾えるタカラガイの中では大きい方です。
●初めて拾ったのは貝拾いに夢中になるはるか前、確か西伊豆の宇久須でした。あまり打ち上げ貝がないきれいな砂浜にコロンと転がっていた記憶があります。貝を拾うようになってからも、やっぱりそういう状況で出会うことが多いようです。タカラガイの仲間は岩礁に住むので、普通は磯の間にある狭い浜に打ち上がるんですが、こいつとクチグロキヌタだけは別。海岸に岩がない砂浜でよく見つかります。どういう理由かはわからないけど、岸から離れて砂地に囲まれた岩礁が好きなんでしょう。貝の場合は、生きてる姿が観察できる地上のものと違って、生態を想像するしかないのがもどかしい。潜ればいいのか。
●最近はあまり広い砂浜には行かない(貝の種類が少ないから)ので僕はそれほどたくさん拾ってませんが、個体数が少ないわけではありません。内房の砂浜など、多いところではほんとにハツユキしかないんかい、っていうくらい。水質や水温にも比較的対応できるらしく、東京湾では南房総に限らず富津岬あたりまでいます。逆に暖かい南九州や沖縄あたりだとかえって少なくなるらしい。
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微妙に色合いが違ったり、水玉模様が流れていたりするものはありますが、基本的にそれほど個体差はありません。腹側は真っ白。オミナエシダカラのちょっと透明感のある白さではなく、べたっと白い感じ。殻口はオミナエシダカラと比べても大きく広がってます。ただサイズ的に合わないのか、意外とヤドカリが入ってることは少ないようです。住んでる場所が影響してるかも。
若い個体は薄っぺらくて軽く、プラスチックみたいで安っぽいけど、成長したものは底辺が厚く重くなってきます。上の個体はまだ若くて、幼貝にある横帯がうっすら残ってます。
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すり減ると、陶器みたいだったのがコンクリートっぽくなってがっかり。あまりコンディションにこだわらずつい持ち帰ってしまう僕もさすがにこういうのはあんまり拾いません。左上のは紫色になってますが、ハツユキダカラの場合紫色になる確率がずいぶん低いような。
オミナエシダカラやコモンダカラのスレたのとの区別はこちら。慣れれば全体にふくらみが強いのですぐ見分けられます。
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未成貝と幼貝。幼貝はなおさらオミナエシダカラやコモンダカラとまぎらわしくなるけど、ハツユキダカラはてっぺんにまだ見えている巻き初めの部分(胎殻)が黒いのが決め手になります。

■似ているもの:すり減ったもの同士ではオミナエシダカラやコモンダカラ。
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2011年10月11日

クロシオダカラ

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クロシオダカラ
Palmadusta contaminata
ケープダカラ亜科 カミスジダカラ属
一般的なサイズ:10〜14mm
分布:房総半島以南
レア度:三浦・房総とも★★★


●かなり小さいタカラガイです。メダカラに似てますが、それよりもずっと小さく、前後はきゅっと絞り込まれて尖っていて、裏返すと口の左右にはこれもメダカラよりずっと小さい黒斑がたくさん散らばっています。なんか別のタカラガイの精巧なミニチュア版といった感じ。
●図鑑の写真だと大きさの感覚がわかりにくいこともあって最初はなかなか見つけられませんでしたが、一度実物を見てからは毎回数個は拾えるようになりました。慣れると上から見たシルエットでも見分けられるでしょう。ただし小さいので歩きながらじゃ難しくて、貝だまりに座り込んで探してると見つかります。
●生きてるときには背中にメダカラのような黒斑が乗っているそうですが、比較的深いところにいるためか、打ち上げではそんなの見たことありません。最初の写真だって、僕が拾った中ではコンディションがいい方なんだけど、きれいにひと皮むけてしまってます。このへんが生貝採集された図鑑標本で見るのと、実際に拾ったものを調べるときのギャップです。まあ、僕自身は生きてるのを殺してまできれいな貝殻を集めようとは思わないので、それはそれでいいかと。
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普通に拾えるのはこんな感じです。葉山しおさい博物館のガイドブックには、「摩滅個体は薄茶色でメダカラガイのように濃紫色にならない」って書いてあるんだけど、メダカラもすり減って薄茶色っぽくなるのがあるし、色合いだと区別できない気がする。
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以前作ったメダカラとクロシオダカラの見分け方。大きさだけだと、たまにメダカラにも10mm以下のがありますが、全体の形で見分けられます。

■似ているもの:
メダカラのほかは、サイズが近いツマムラサキメダカラがあります。こっちはクロシオダカラと反対にシルエットが円筒形で、前後は寸詰まりになります。
posted by Yasuhisa Ueda at 01:44| Comment(2) | 三浦・房総の貝殻図鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする