2009年11月10日

クロコノマチョウ (東京・多摩丘陵)

林の中の道は、落ち葉が積もり始めた分、少しずつ明るくなってきています。かさかさ音を立てながら歩いていると、足もとから大きめの蝶がパタパタ飛び立ち、やがて少し離れた場所に止まります。
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うーん、どこにいるんだか全然分かりませんね。大きさはツマグロヒョウモンくらいあるんだけど、ほとんど茶色一色だし、羽を開くこともほとんどないから、撮っててもちょっと目をそらすと分からなくなるんです。
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なんとか近づいてみれば、ちょっと変わった輪郭の羽を持っていることに気が付くでしょう。これはたぶん♂。♀はもっと羽の突起が強くなります。
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こっちが♀(正直それほど自信ないけど)。色合いも♀の方が赤っぽいはずなんですが、この蝶の場合たいていストロボ使って撮っちゃうので比較しにくいです。

クロコノマチョウは、ツマグロヒョウモンやナガサキアゲハ同様、年々生息地を北へ広げている蝶。ウラナミシジミのように死滅回遊を繰り返しているのではなく、成虫越冬して子孫を残しています。僕は8年ほど前の春、横浜の郊外で初めて見て驚きましたが、今ではこのへんじゃもう珍しくもありません。ただ、明るい場所に出てきて花の蜜を吸ったりすることはなく、林の中で落ちた果実の汁や樹液を吸って暮らしているので、ツマグロヒョウモンほど話題にならないようです。食草もススキとかジュズダマだし。
最近はなにかというと温暖化が話題になりますが、こうやって身の回りの自然の変化を見ているとほんとに実感します。
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幼虫は黒い頭に角があってユニークな形。これは9月中旬、ジュズダマにいたもの。特徴的なのですぐ見つかりそうですが、頭以外は緑色で葉っぱに溶け込んでいるので、食べあとを目印に探してもなかなか見つからなかったりします。

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2009年11月06日

アリアケスミレ (東京・多摩丘陵)

一気に寒くなって、このまま虫も花も少なくなっていくと思うとちょっと憂鬱ですが、風のない晴れた日には意外なほどの暖かさが戻ってきます。小春日和とか、インディアンサマーと表現されるのがこの時期。
そして、ただ暖かいだけでなく、実は春の花も咲くんです。
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草刈りが終わった野原に、ぴょこんと顔を出しているのはアリアケスミレ。人里近くに多いスミレですが、うちの近所で見かけるのはここだけ。花の色には個体差があって、ここのはほとんど真っ白の地に紫色の筋が入っていて清楚な感じです。
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樹木では「狂い咲き」ということがよくあって、夏の終わりにモンクロシャチホコが丸坊主にした梅にもちらほら花が咲いていますが、そっちは葉っぱがなくなったことで休眠ホルモンの供給が途絶えるのが大きな理由とか。ここはツマグロヒョウモンがやたらと多いので、スミレにも同じことがあるのかなと思ったけど、開花から結実までが短い草の場合はちょっと事情が違うでしょうね。ある程度の温度が保たれ、花粉を運んでくれる虫もいるなら、春以外にも咲いて種を残すチャンスを増やした方がいいわけです。実際、スミレの他にもニガナやジシバリなど、この時期に咲いている春の花って多いです。
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本番の春に比べれば、ほんとにちらほら咲いているだけのように見えますが、実際にはそうでもありません。葉っぱをかき分けると、たくさんの実が実っています。これは閉鎖花が実ったもの。閉鎖花というのは花びらを開かないまま、自家受粉して果実を実らせる花のことで、スミレに限らず多くの野草にあります。キク科のセンボンヤリなどは、秋にたくさん出る閉鎖花の姿から名付けられています。
自家受粉だから遺伝子のバリエーションは保てませんが、花びらや蜜などのコストをかけず、虫がいなくても確実に種子を残す作戦です。

スミレの場合、春の開放花が終わった後も、草むらの中で閉鎖花を次々につけて種子を生産していますが、こうやってまわりの草が刈られたのを見計らったように開放花を咲かせたりするのだから、よくしたもんです。
種子をただ生産するより、スミレもやっぱりちゃんときれいな花を咲かせたいんじゃないかな、とちょっと非科学的なことを考えたりします。
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同じ場所の4月下旬、花盛りの姿。アリアケスミレは、スミレの仲間ではかなり遅咲きで、他の草をかきわけるように咲いています。
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2009年11月05日

コナラ (東京・多摩丘陵)

とうとう木枯らしがやってきました。温暖化の影響か、京都などでは紅葉のピークが師走までずれ込んでいるそうですが、季節は確実に秋から初冬へ向かっています。
色を変え始めた雑木林の下を歩けば、ドングリが敷き詰められたよう。
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これだけのドングリが芽を出したら、あっという間に世界中緑化できそうに思えますが、このほとんどは育つことができません。道に落ちて踏まれたりするのは別として、林の中ではたとえ芽を出しても、親の木々が光をさえぎってしまうから。それに、頑丈なようでいてドングリの種としての寿命は短く、乾燥した地面では発芽する以前に枯れてしまうそうです。
運良く水分のある場所に落ちたものが芽を出し、そこがちょうど倒木などで光を受けられる場所だったときだけ、次の世代の木が育っていきます。確率でいえば何万分もの1でしょう。なんだかえらく無駄なようにも思えるけれど、リスやムササビなどの動物たちにとっては、このドングリは冬を越すための貴重な食料ですし、彼らが運んで集めた食べ残しから、親木とは離れた場所で育つこともできます。運ばれなかったものも土となり、山を豊かにして、生きものたちを育ててきたわけです。
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2月上旬。降り積もった落ち葉の下で、たくさんのドングリが根を出しています。赤くなっているのは光を受けた部分。これ、単に紅葉と同じように糖分が光で分解されて色素を生んでいるのか、それともアカメガシワやレッドロビンの春の紅葉のように、強すぎる光から身を守るためのものなのか知りたくて調べてみたんですが、いまだに分かりません。
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4月上旬。若葉を伸ばし始めました。まだ大きな木は葉を広げる前で、林の下にも光が届いています。ドングリにため込んだ栄養を使い切った頃に光を受けられるかどうかで、若い木の運命が決まります。
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12月下旬。日当たりのいい場所で芽生え、なんとか草刈りにもあわずに育った若木。不思議なことに、若い木に限ってコナラもこんなに鮮やかに紅葉します。
posted by Yasuhisa Ueda at 05:34| Comment(2) | 樹木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月25日

マユタテアカネ (東京・多摩丘陵)

今年は近所であまりアキアカネの姿を見ないまま、赤とんぼの季節が過ぎようとしています。
飛翔力の強いトンボは住みやすい場所さえあればすぐにやってくるから、ビオトープ作りの目標にもなっていますが、逆に言えば自然度が高くても好みじゃないところには来てくれないようです。
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僕の歩いている谷戸で多いのは、このマユタテアカネ。アキアカネやナツアカネよりも少し小さい赤とんぼです。狭い谷戸の薄暗い環境が合っているのでしょう。
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赤とんぼの仲間は胸の横にある黒い模様で見分けるんですが、この時期になってくるとどれも成熟して色が濃くなってしまい、なかなか遠目ではわかりにくいですね。ただマユタテアカネの場合は名前の由来にもなった眉斑といわれる黒い斑紋があるため、顔さえ見えれば比較的同定しやすい種類です。
眉斑というものの、目の下にあるんだから、どう見たってヒゲか鼻の穴にしか見えません。ヒゲアカネとかブタバナアカネなんて名前にならなかったのは、名付けた人の愛情でしょう。
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9月下旬、多摩丘陵。こちらは♀。お腹の上側がちょっと赤くなるくらいです。
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7月下旬、多摩丘陵。未成熟の♀。初夏に羽化した成虫は水から離れ、谷戸のまわりの林で暮らしています。山道の左右の木にたくさん止まっていて、飛び立っても遠くに行くことはありません。♀は写真のように羽の先っぽが黒くなっているのもいます。
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こちらも7月下旬。未成熟の♂。赤くなる前は雌雄とも似たような色合いですが、♂の場合はお腹の先端がくいっと反っているので見分けられます。




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2009年10月24日

スズメウリ (東京・多摩丘陵)

ガマズミやカラスウリ、ヒヨドリジョウゴなど、野山に赤い実が目立つ季節ですが、このスズメウリは白く熟す果実。こうやって林縁に並んでぶら下がっていると、なにかの飾り付けのように見えます。
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スズメウリはカラスウリに対して名付けられているのでしょう。ずっと小さく、まん丸い実はかすかに黒い種が透けて見えて、真珠のような光沢があります。多くの果実が鳥に食べられて種を運んでもらうために目立つように赤くなっていることを考えると、こんなので大丈夫かなと思うけど、常緑樹にからみついたつるからぶら下がっていれば十分目立つようです。
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ヒヨドリジョウゴの赤い実と並んでいました。残念なことに熟し切るとしわしわになってしぼんでしまうのと、実が白くなる頃にはつるは枯れてすぐ切れちゃうので、リースなどには使えません。

スズメウリはどちらかというと湿った場所が好きなようで、里山では湿地に覆い被さるように茂った木にぶら下がっているのをよく見かけます。河川敷のグランドのネットにびっしり実っているのも見たことがあります。
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9月上旬に見かけた花。カラスウリのように花弁が裂けたりはせず、花自体もずっと小さくて目立ちません。果実は最初のうちこんな風に細長く、だんだん丸くなってきます。
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2009年10月19日

ヤブツルアズキ (東京・あきる野市)

放棄水田のまわりに野菊が咲き、ヤブツルアズキの実が実っています。
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これはアズキの原種と言われる植物。縄文時代の遺跡からも発掘されていて、古くから利用されていたようです。うちの近くでもあるところにはいっぱい見つかります。
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黒くなったさやが割れると、ねじれるようにはじけて種を飛ばします。中身はほんと、アズキそっくり。もちろん食べられます。ただしずっと小さいから、これであんこ作るのは大変そう。
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9月上旬、多摩丘陵。花もアズキにそっくり。ねじれているので変な形に見えますが、基本的な形はマメ科特有のものです。
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アズキがあればダイズもあって、これはダイズの原種といわれるツルマメ。湿り気のある草原では、ヤブツルアズキと一緒に生えていることも多いようです。写真だと大きさが分かりにくいから枝豆と見間違えそう。
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去年の写真ですが、ツルマメを集めて塩ゆでしてみました。お皿は刺身のしょうゆ皿。美味しいけどままごとサイズです。

秋の野にはこのほかノササゲやヤブマメ、タンキリマメなど、いろんなマメ科の果実が見つかります。種だけ集めてみるのも面白そう。
posted by Yasuhisa Ueda at 00:00| Comment(2) | 野草 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする